前歯の部分矯正治療

前歯の部分矯正治療とは?

前歯の部分矯正治療とは?

前歯の部分矯正治療とは、前歯だけを部分的に移動させて矯正する治療法です。一般的な歯列矯正の場合は、奥歯を含むすべての歯を移動させて歯列を整えます。部分矯正の場合は、ごく一部の矯正だけで治療が完了するため、短期間かつ低コストの治療が可能です。

ただし、部分矯正では奥歯など全体の噛み合わせを調整できないため、前歯以外の噛み合わせに問題がある場合は治療を行えません。矯正に関する選択肢のひとつとして知っておくとよい、前歯の部分矯正治療について、これから詳しく解説します。

前歯の部分矯正治療で得られる4つのメリット

前歯の部分矯正治療に関するメリットを4つご紹介します。

  • 一般的な矯正よりも費用が安い

    前歯だけを集中的に治療する矯正方法なので、矯正装置や取り付けなどにかかるコストを削減できます。奥歯を含む歯の全体を矯正する一般的な矯正と比べると、比較的安い料金で治療できることがメリットです。

  • さまざまな矯正装置を選べる

    部分矯正で使用する矯正装置は、さまざまなタイプから選べます。ワイヤー矯正による治療のほか、透明なマウスピースを使った治療も可能です。外から目立つ治療を避けたいという方も、安心して治療に取り組めるでしょう。

  • コンプレックスをピンポイントで矯正できる

    「上の前歯2本だけを矯正したい」といったピンポイントな矯正が可能です。通常の矯正のように、治療が不要な箇所もまとめて矯正する必要がありません。無駄を省いて治療したい方にとって、前歯の部分矯正治療はぴったりです。

  • 治療にかかる期間が短い

    前歯だけを集中的に矯正する方法なので、治療にかかる期間は一般的な歯列矯正と比べて短めです。早ければ数ヶ月程度で治療が終わる可能性もあるでしょう。「数ヶ月後の高校デビューまでに前歯を治したい」といった希望にも対応できる可能性があります。

前歯の部分矯正治療で治せる症状は5つ

前歯の部分矯正治療で治せる症状を5つご紹介します。

軽度な乱杭歯(叢生)

軽度な乱杭歯(叢生)

乱杭歯とは、歯がずれたり重なったりしながら、デコボコに生えている状態です。乱杭歯の原因としては、あごの幅が狭くて歯が並ぶスペースを確保できないことや、あごに対して歯が大きすぎることなどを挙げられます。

乱杭歯が軽度な場合は、前歯の調整だけで全体のバランスを取れる場合があり、全体矯正をしなくても治療できる可能性もあります。

軽度な出っ歯

軽度な出っ歯

出っ歯とは、前歯が前方に向かって飛び出している状態のことです。
上の前歯が出ていると気にされている方は多いのですが、上の前歯は下の前歯よりも2~3ミリ前に出ている方が多く、3ミリ以内であれば出っ歯とは言わないことが多いです。

ただ、4ミリ以上前に出ていると出っ歯と診断されるため、その場合は部分矯正で治療を行います。

軽度な反対咬合(受け口)

軽度な反対咬合(受け口)

受け口とも呼ばれる症状で、下の歯が上の歯よりも前に出ている状態です。原因は遺伝的なものから後天的なものまで幅広く、部分矯正によって傾きを修正することで、改善できる可能性があります。

歯が複雑に重なっていない場合や、該当する歯が数本程度の場合は部分矯正での治療が可能です。

すきっ歯

すきっ歯

歯と歯の間に隙間ができている状態です。生まれつき歯が小さい場合や、生えてくるはずだった永久歯が埋もれたままになっている場合などにすきっ歯になります。前歯の部分矯正を行うことで、前歯を左右に動かして隙間を埋められる可能性があるでしょう。

ただし、歯並びによっては周辺の歯の隙間が余計に目立つ可能性もあり、バランスを考慮した治療が必要です。

開咬(オープンバイト)

開咬(オープンバイト)

開咬とは、奥歯を噛み合わせたときに、前歯に大きな隙間が空く状態です。前歯の隙間は1~3mm前後の間なら正常ですが、それ以上に開いている場合は開咬と考えられます。

仮に上下の前歯が傾いているせいで開咬が発生している場合は、部分矯正で前歯の傾きを解消させることにより、開咬そのものをなくせる可能性があります。

【治療法別】前歯の部分矯正の方法を解説

前歯の部分矯正の方法について、ワイヤー矯正とマウスピース矯正の両方で解説します。

ワイヤー矯正による部分矯正

ワイヤー矯正による部分矯正

ブラケットと呼ばれる装置にワイヤーを通し、歯を引っ張って矯正させる方法です。一般的なワイヤー矯正では24個のブラケットを装着しますが、部分矯正ではブラケットの数を6~10個に減らせます。

歯並びによっては歯を削ったり、抜歯をしたりして、歯を異動させるスペースを作らなければなりません。治療期間の目安は、3~10ヶ月です。

マウスピース矯正による部分矯正

マウスピース矯正による部分矯正

矯正後の歯並びから逆算したマウスピースを作り、現在の歯並びとは微妙に異なる形のマウスピースを前歯にはめ込んで圧力をかけ、歯を移動させます。治療期間の目安はマウスピースもワイヤーもしっかり使っていただけたら期間は同じくらいで終了します。

しかしワイヤー矯正と比べて目立ちにくい、痛みにくい、金属アレルギーの心配がないといったメリットがあります。

前歯の部分矯正治療のメリット

前歯の部分矯正治療のメリットは、全体矯正と比べて、低コストかつ速やかに治療が完了することです。仮に装置の付け外しができないワイヤー矯正を選んだとしても、前歯以外は治療前と同じ状態を維持できるため、歯磨きなどで苦労する心配がありません。
奥歯などにはとくに問題がなく、前歯だけをきれいにできればよい場合、部分矯正を選ぶとよいでしょう。

前歯の部分矯正治療のデメリット

前歯の部分矯正治療のデメリットは、全体の噛み合わせを調整できないことです。歯並びを改善できるのは前歯だけなので、奥歯などに噛み合わせの問題が生じている場合、これを解消できません。
全体矯正のように抜歯をして並び替えることが部分矯正では難しいため、歯を動かす必要があるのに隙間が足りない場合は、歯を少し削ってスペースを作る場合があります。

歯科矯正用アンカースクリューについて

矯正治療のために歯を抜歯し、そのスペースを可能な限り前歯をひっこめることで使いたいという場合、ヘッドギアを使って、奥歯が前へ出てこないように留めておく必要がありました。
ヘッドギアはとても良い装置なのですが、長時間装着しなければ効果が出づらいため、効果は患者さんの協力次第というところがありました。

歯科矯正用アンカースクリューでは、ねじから休みなく引っ張り続けるので、治療期間が短くなります。

また、従来の矯正治療では難しかった方向への歯の動きを可能とするため、ヘッドギアのわずらわしさからも開放されます。